機関誌「非破壊検査」バックナンバー 2018年02月度

巻頭言

フェーズドアレイ超音波探傷法の適用と展開 特集号刊行にあたって 古川 敬

 超音波探傷試験においてフェーズドアレイ技術は,もはや新しい技術と言えないぐらい一般的な技術になりつつある。本誌では第56 巻10 号(2007 年)及び第62 巻2 号(2013 年)に,各々フェーズドアレイ技術の紹介と実用化されつつある状況,そして超音波探傷試験への適用事例などが紹介されている。現状では,フェーズドアレイ技術は原子力発電分野や航空宇宙分野の超音波探傷試験へ活用されている。しかし幅広い産業分野に普及しているかというと,必ずしもそうとは言えないのが現状である。その理由の一つは,フェーズドアレイ技術は必ずしも万能な技術ではなく,用途によっては従来法の性能が優れる場合がある。この場合はフェーズドアレイ技術の必要性は高くない。一方で,多様な探傷パラメータの最適化が困難で適用が難しいといった理由や,規格が整備されていないため使いたくても使えないといった理由もあるのではなかろうか。このような状況の中で,現行規格の適用範囲を越える領域で,フェーズドアレイ技術が積極的に適用されようとしている。当協会の超音波部門では,フェーズドアレイ法を用いた超音波探傷試験に関する研究委員会を設置し,溶接部をはじめとした各種製品への適用事例の紹介や適用方法に関する調査研究を行い,フェーズドアレイ技術の普及に努めている。規格化についても,用語と探傷の一般通則について日本非破壊検査協会規格(NDIS)の原案作成委員会が設置され規格化が進められている。
 そこで,本特集号では「フェーズドアレイ超音波探傷法の適用と展開」と題して「フェーズドアレイ超音波探傷試験技術の動向と展望」,「フェーズドアレイ探傷計画検討におけるシミュレーションツールの活用」,「フェーズドアレイ法を用いた高クロム鋼溶接部の余寿命検査技術」,「建築,土木におけるフェーズドアレイUT 法」及び「FMC/TFM の動向」について各分野のエキスパートの方に解説をしていただいた。まず,「フェーズドアレイ超音波探傷法の適用と展開」では,前述の研究委員会の委員長及びNDIS 原案作成委員長の著者より,技術普及の観点からフェーズドアレイ技術の原理や活用時の留意点,NDIS 制定の経緯や現状などについて述べていただいた。「フェーズドアレイ探傷計画検討におけるシミュレーションツールの活用」では,鋼溶接部の探傷において最適探傷条件の探索にシミュレーションツールを活用した事例を紹介していただいた。「フェーズドアレイ法を用いた高クロム鋼溶接部の余寿命検査技術」及び「建築,土木におけるフェーズドアレイUT 法」では,各々火力発電プラントの保守ならびに建築構造物,土木構造物の保守等に適用されているフェーズドアレイ技術を紹介していただいた。そして,「FMC/TFM の動向」では今後の展望として,新しい映像化方法の一つである,FMC/TFM(Full Matrix Capture and Total Focusing Method)について,概要と特徴,適用事例を述べていただくとともに,高速な計算技術を併用することでさらに高度な処理の可能性と海外での規格化の動向を紹介していただいた。
 本特集号では,フェーズドアレイ技術を用いた超音波探傷に関し,2013 年以降の動向と今後の展望を話題にした。誌面の都合で広範囲の分野を網羅できなかったが,本特集号の内容が読者の皆様にとって有益なものになれば幸いである。最後に,本特集号の企画にあたってご協力いただいた執筆者の方々ならびに関係各位に深く感謝する。

 

解説

フェーズドアレイ超音波探傷法の適用と展開

フェーズドアレイ超音波探傷試験技術の動向と展望 
東北大学大学院工学研究科 三原 毅

Prospects of Phased Array Ultrasonic Inspection
Graduate School of Engineering, Tohoku University Tsuyoshi MIHARA

キーワード:フェーズドアレイ,開口合成,音場,規格,ISO

はじめに
 フェーズドアレイ法は,電波や音波の送信時の送信電子走査と,受信時の空間分解能の増幅に,多くの受信機から成るアレイを使って位相を疑似的に揃えることを巧妙に利用する手法である。本法の中核は,1946 年電波望遠鏡の分解能を向上させる方法として天文学者マーティン・ライルらが考案した,開口合成(Aperture synthesis)にある。開口合成は,複数の受信機を利用して,高分解能な情報を取得するための技術として,電波を使うレーダ等への利用からスタートし,現在は音波や地震波にも広く利用されている。超音波フェーズドアレイでは,医療応用が今も産業を主導しており,医療で超音波診断と言えばフェーズドアレイ映像法だけが使われていると言っても良い。工学応用との差異は,測定装置の使い手が医療は医者や医療技師等,超音波の専門家ではないので,診断に容易な映像技術が求められ,診断に不要なモード変換エコー等は強く除去することが求められるのに対し,工学応用での利用者は皆計測の専門家なので,モード変換エコー等の言わばノイズもそのまま評価情報として利用する。また人体を水と見て縦波のみ(音速1580 m/s)で画像化し,高価な装置でも数年で更新できる計測ニーズを持つ医療分野と異なり,縦波と横波が界面でモード変換を繰り返す固体計測(鋼で5900 m/s:音速が水の4 倍なので同一の周波数なら波長も4 倍で分解能は4 倍劣る)は医療応用と比べて難易度は必然的に高い。さらに医療用途と異なり,工業応用では厳しいコストも求められ,フェーズドアレイシステムの計測コストも利用拡大のネックにもなってきた。
 また高価な新探傷技術の使い先は,当然高い保安基準が求められる原子力発電機器や航空宇宙の部材等になるが,特にこれらの分野で我が国における新技術を既存の計測の代わりに用いるには,公的なオーサライズが必要で,既存の技術に比べ同等以上の保安基準を満たす性能が要求される。しかし一般に,既存の技術も条件が整えば高い計測精度を示す一方,どんなに便利で高度な新技術も弱点はあるので,全ての条件で既存の手法以上の保安基準を確保するためには,計測手順や規格を整備することが必須になる。後述するフェーズドアレイの規格化の検討過程でも,既存の一定の音場の探触子を機械走査する超音波探傷法と比べ,フェーズドアレイ法は機械走査不要な電子走査の利便性とバータで,アレイの指向性に依存して生じる検出性の差異をどう扱うかを決める必要が議論された。これらについては,既にフェーズドアレイの広範な応用が進む,後述する欧米の運用が参考になる。
 本特集は,現在フェーズドアレイについての各分野のエキスパートを著者に,フェーズドアレイ計測のシミュレーション等の基礎から,新しいフェーズドアレイシステムの紹介,さらに個別の対象物への実用状況等について解説頂く。本稿は,それらの解説の露払いとして,フェーズドアレイ計測の原理と手順を述べ,利用時に留意すべき事項を示した。また,現在日本非破壊検査協会で進められている,フェーズドアレイに関するNDIS(日本非破壊検査協会規格)について,制定の経緯と現状を述べるとともに,我が国と欧米の規格の差異と,検査技術者の役割の差異についても,新技術普及の観点から言及する。

 

フェーズドアレイ探傷計画検討におけるシミュレーションツールの活用 
(一財)発電設備技術検査協会 上山 芳教、古川 敬

Application of Simulation Tools to Coordinate the Conditions of Phased Array UT
Japan Power Engineering and Inspection Corpration Yoshinori KAMIYAMA and Takashi FURUKAWA

キーワード: フェーズドアレイ探触子,パルス反射法,斜角法,溶接欠陥,シミュレーション

はじめに
 溶接部の超音波探傷試験では,主に固定角の斜角探触子を用いた探傷試験方法(以下,従来法と呼ぶ)が用いられ,きずの検出や寸法測定といったきずの評価に活用されている1)。本特集のテーマであるフェーズドアレイ超音波探傷法は,振動子を1 次元や2 次元に配列したアレイ探触子を用い,超音波の送受信に使用する振動子の組み合わせを変えたり,各素子を励振するタイミングすなわち遅延時間を電気的に制御したりすることで超音波の入射の位置,入射の角度や集束の条件等を切り替えながら測定ができる。また,探傷結果を探傷画像として映像化することで,従来法に比べ探傷試験や探傷結果の解釈が効率的に行えるものと期待され,実用化に向けた研究開発や規格化が進められている2),3)。フェーズドアレイ法では,前述の特徴を活用して,複数かつ多数の角度や集束の条件を組み合わせた詳細な探傷を行う方法や,従来法と同程度の性能を確保しつつ効率的かつ高速な探傷を行う方法など,いろいろな選択肢が考えられる。近年はポータブルなアレイ探傷器を用いたセクタ走査により,従来法の代替にフェーズドアレイ法を適用する取り組みもなされている4),5)。著者らも従来法と同程度の性能で効率的な探傷を行う方法を研究しており,探触子から発生する超音波の音場の同等性の評価6)や,フェーズドアレイ法のセクタ走査で従来法の前後走査と同等な探傷結果が得られる条件の検討7),8)などを行っている。このような調査研究を進める上で,超音波のシミュレーション解析技術を駆使し,フェーズドアレイ法の探傷条件を試験前に検討したり,探傷試験後の試験結果の評価・考察に活用している。フェーズドアレイ法のセクタ走査では,複数の屈折角成分の超音波ビームを使用するため,従来法での知見や経験を駆使しても,最適な探傷条件を探し出すまでに手間がかかることが多く,フェーズドアレイ法の探傷条件の検討において,シミュレーション手法の活用が有益と考えられる。 本稿では,鋼溶接部に対してセクタ走査で探傷することを想定し,超音波ビームの振り角や探触子の設置位置の検討等へシミュレーション手法を活用した事例を紹介する。

 

フェーズドアレイ法を用いた高クロム鋼溶接部の余寿命検査技術
 (株)IHI検査計測 神代 修平、引地 達矢、元(株)IHI検査計測 梶ヶ谷一郎
 (株)IHI 齋藤 規子、中川 博勝、久布白圭司、塩田 佳紀

Ultrasonic Phased Array Technology for the Creep Life Assessment
of Grade 91 Steel Power Piping

IHI Inspection & Instrumentation Co., Ltd. Shuhei KOUJIRO and Tatsuya HIKICHI
Former IHI Inspection & Instrumentation Co., Ltd. Ichiro KAJIGAYA
IHI Corporation Noriko SAITO, Hirokatsu NAKAGAWA, Keiji KUBUSHIRO and Yoshiki SHIODA

キーワード:火力発電用ボイラ,余寿命評価,高クロム鋼,クリープ試験,フェーズドアレイ

はじめに
 国内における600 ℃ 級の超々臨界圧(USC:Ultra SuperCritical)ボイラには主要耐圧部材料として高Cr フェライト系耐熱鋼配管が多く用いられているが,運転時間が10 万時間を超えるプラントも多く存在する。高Cr 鋼のクリープ強度については多くの研究が報告されており,現在ではクリープ破断強度についても見直しが行われている。特に,高Cr 鋼溶接部のクリープ破断強度は母材の破断強度に比べて低いことがわかっており,破壊は溶接熱影響部(HAZ:Heat AffectedZone)を起点に生じている。このような状況から,高Cr 鋼溶接部の余寿命評価は火力発電プラントの保守点検において非常に重要な項目となっている1),2)。
 余寿命評価方法は一般的に破壊試験,硬さ試験,レプリカ,超音波探傷試験などの手法を一つもしくは二つ以上組み合わせて行うが,現在ではデータ処理技術の向上により検査方法自体の高度化が進んでいる。超音波探傷試験においては材料内部の画像化が可能となり,超音波フェーズドアレイ法3)を用いてより高度な判断ができるようになった。今回はその超音波フェーズドアレイ法(UPA 法:Ultrasonic Phased Array)を用いたクリープ損傷評価の有効性について紹介する。

 

建築,土木におけるフェーズドアレイUT 法
 (株)ジャスト 古舘 岳実、池ヶ谷 靖

Weld Inspection of Steel Structures and Bridge Structures using Phased Array UT
JUST Takemi FURUDATE and Sei IKEGAYA

キーワード:斜角一探触子法,フェーズドアレイ,溶接部の超音波探傷法,きずエコー,不溶着部の高さ

はじめに
 建築鉄骨溶接部や橋梁の溶接部の超音波探傷試験が行われるようになってから半世紀を経ようとしている。この分野での超音波探傷試験は一部で斜角一探傷法による自動探傷が適用されている以外は,ほとんどがA スコープ表示の斜角一探触子法(以下,斜角一探触子法と略す)が適用され,少なくても溶接部の不良施工をなくすという意味では大きな役割を果たしている。
 しかしながら,建築構造物の耐震性の確認のための既存の建築鉄骨溶接部の調査では,新築鉄骨の超音波探傷検査規準(「鋼構造建築鉄骨溶接部の超音波探傷検査規準・同解説」)で不合格の溶接部では,さらなる評価を必要とされ,斜角一探触子法では適正な評価を行うことが困難である。そこで,フェーズドアレイUT 法(以下,PAUT 法と略す)を適用して,既存鉄骨溶接部の適正な評価を行っている1)。
 同様なケースとして, 橋梁においても部分溶込み溶接部を適正に評価するために,PAUT 法を適用している2)。
 また,極厚板の溶接部で割れが発生した場合に割れの寸法計測や割れの形状の推定で,PAUT 法を適用している場合もある。
 さらに,溶接部の探傷での見落としを防止するために,PAUT 法を適用して,そのあとに規格・規準に基づいた斜角一探触子法で溶接部の評価を行うこともある。
 このように,建築鉄骨溶接部や橋梁等ではPAUT 法が適用されてきているが,ほとんどの検査技術者がA スコープ表示の斜角一探触子法を行っているので,斜角一探触子法とPAUT 法の差異やPAUT 法の注意点等を述べる。

 

FMC/TFM の動向
 ザフェーズドアレイカンパニー カークレフ イーウェン
 ディービー(株) 横濱 慎也、ブラコニエ ドミニク

Trend of FMC/TFM
The Phased Array Company Ewen CARCREFF
DiiBii Ltd. Shinya YOKOHAMA and Dominique BRACONNIER

キーワード:フェーズドアレイ,開口合成,FMC/TFM,アダプティブ,逆問題

はじめに
 超音波探傷試験は工業製品のきずを検出,評価するための非破壊検査技術の一手法として標準1)となっている。超音波探傷試験で用いるプローブは1970 年代にアレイが開発され,SAFT(Synthetic Aperture Focusing Technique)2)などにも応用が進み高度な開口合成法が提唱されてきた。ここではアレイプローブによる開口合成法の総称としてFMC/TFM(FullMatrix Capture and Total Focusing Method)という呼称を用いる。FMC/TFM は超音波エコーの送受信アルゴリズムによって幾つかに区別することができ,同一素子による送受信で動作するモノスタティック3),4),単一素子から送信された超音波を全ての素子で受信するマルチスタティック5),全ての素子で送信した超音波を全ての素子で受信するAFM(AdvancedFocusing Method)6)等があることが知られている。取得した波形データは画像化のためにモノスタティック,マルチスタティック,AFM のいずれも同じ原理で再構成される。TFM 7)と呼ばれる再構成画像生成のためのアルゴリズムは遅延和法である。これはフェーズドアレイ機器による送受信エコーの遅延制御で試料中の各点に正確なフォーカスを合わせることと等価である。また,TFM は画像のサイズ,解像度,材料音速を自由に定義できることから,従来の超音波探傷試験にはない様々な利点がある。本稿ではFMC/TFM の概要と特徴,そして適用事例について紹介する。

 

論文

熱弾性応力測定に基づく微細粒ペーストの疲労き裂進展抑制効果の検証
 遠藤 英樹、和泉 遊以、阪上 隆英、河本 恭平

Verification of Fatigue Crack Growth Inhibiting Effects of Fine Grain Paste Based on Thermoelastic Stress Analysis
Hideki ENDO, Yui IZUMI, Takahide SAKAGAMI and Kyohei KAWAMOTO

Abstract
Fatigue cracks have been detected in numerous infrastructures, such as steel bridges and cranes. Therefore, various repair and retrofit methods for such fatigue cracks have been proposed. Many technical examinations and construction reports have been published by engineers who developed repair and retrofit techniques for fatigue cracks, however research reports of repair and retrofit from the viewpoints of non-destructive evaluation have not been published so many. We focused on fine grain paste for repair and retrofit methods of fatigue cracks based on the reduction of stress intensity factor range. In this paper, we examined techniques to confirm the quality of retrofit treatment using the fine grain paste method. First, we studied a simple evaluation method using stress amplitudereduction at representative points near cracks. It was found that the applied fine grain paste method was effective for decelerating the growth of fatigue cracks. Further, we investigated the precise evaluation method using stress intensity factor range ΔK near the cracktip. It was found that the precise evaluation method was also effective for evaluating the fine grain paste method.

Key Words:Fatigue crack, Wedge effect, Key Words Stress intensity factor range, Thermoelastic effect, Infrared thermography

緒言
 近年,社会インフラや産業インフラの維持管理において疲労き裂対策の重要性が認識されている。鋼構造物に疲労き裂が発見されると,き裂の発生部位,き裂の長さ,対策目的(応急対策,恒久対策)などから総合的に判断して,適用する疲労き裂対策工法が選定される。一般に,疲労き裂対策工法は,次の四種に大別される1)。
(1)応力拡大係数範囲の低減
(2)作用応力の低減
(3)き裂近傍の構造変更
(4)き裂の除去
 これらの原理による疲労き裂の補修・補強工法は,鋼構造物の疲労き裂対策の重要性が認識されるに伴い,(1)に限定しても様々な新技術2)−5)が提案され,実用化されている。しかし,現時点では疲労き裂対策工法を開発した技術者側からの技術検討や施工報告が多く,非破壊試験技術者の第三者的視点からなされた施工品質の評価に関する報告は少ないように思われる。
 一般に,溶接構造物では溶接の施工品質に起因する事故を予防するために,非破壊検査が大きな役割を果たしている。このとき,非破壊試験技術者は溶接技術の品質確保・向上活動に役立つ溶接検査情報を取得し,溶接技術者はこの情報を活用して品質活動を前進させ,溶接品質の確保に役立てている6)。 疲労き裂対策工法の場合も溶接の場合と同様に考えると,非破壊試験技術者が適切な非破壊検査を計画・実施し,施工技術者に役立つ試験情報を提供できれば,施工品質の確保に大いに貢献することが期待できる。また,このことによって,各工法の普及にも弾みがつくと思われる。
 本論文では,応力拡大係数範囲の低減によってき裂進展を停留,あるいはき裂進展速度を抑制する工法の中で,施工が容易である特徴を有する微細粒ペーストを用いた工法に着目した。微細粒ペースト工法の効果は,試験機によるラボ試験では,一定繰返し数ΔN の間にき裂が進展した量Δa を測定し,Δa/ΔN として求めたき裂進展速度の変化を経過観察することで確認できる。しかし,現場では,厳密に試験条件を管理できないためにき裂進展速度を簡便には求められず,一定期間に進展するき裂長さの変化を確認するにも比較的長い時間を要するという課題がある。
 そこで,本論文では,微細粒ペースト工法の施工品質を現場で確認するための非破壊試験方法の開発を目的として,まず,き裂先端近傍の代表点における変動応力低減を熱弾性応力測定によって評価する方法を検討する。次に,熱弾性応力測定で得られたき裂先端近傍の一次元温度分布から応力拡大係数範囲ΔK を求めて,疲労き裂の進展性を評価する方法を検討する。

 

     
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